第4回 放射線ってなあに?
① 放射線は光や電波などの仲間
原子には安定したものと不安定なものがあります。この不安定な原子が安定した原子になろうとする時に出すエネルギー、これが放射線の正体です。つまり放射線は、「高いエネルギーをもって高速で飛ぶ粒子」のこと。光や電波の仲間といえます。ちなみに、放射線は目に見えないだけではなく、においや味もしません。
② 放射線には物を通り抜ける力がある
放射線には物質を通り抜ける力があり、この力のことを「透過力」と言います。この「透過力」は放射線の種類によって違います。
アルファ(α)線:気中で数センチしか飛ばず、紙を当てれば止まります。
ベータ(β)線:紙を通り抜けるが、アルミニウムなどの薄い金属の板で止まります。
ガンマ(γ)線、エックス(X)線:鉛や厚い鉄の板で止まります。
中性子線:水やコンクリートで止まります。
③ いろいろな分野で使われている放射線
【病院】病院などで使われているレントゲンは「エックス線」が体の中を通り抜けた時にできる影を映し出すことで病気を見つけることができます。
また、体の中にできたがん細胞だけをピンポイントでやっつける放射線治療も広く普及しています。
【工事現場・工場】工事現場などでは、トンネルにエックス線を当てて内部の劣化を調査。
また、工場などではゴムやプラスチックに放射線を当てて耐熱性や硬さを向上させています。
【研究】遺跡などを研究する仕事では、仏像や土器など貴重な文化財を壊さずに内部の様子を調べることができます。
④ 放射能・放射線の単位
放射能と放射線懐中電灯に例えると、懐中電灯=放射性物質、懐中電灯から出る光=放射線、懐中電灯の光の強さ=放射能の強さとなります。
【ベクレル(Bq、Becquerel)】放射性物質の量や放射能の強さを表します。1ベクレルは、1秒間に1個の原子核が壊れることです。このときに放射線が放出されます。
放射性物質を発見したフランスの科学者アンリ・ベクレルの名前が単位に使われています。
【グレイ(Gy、Gray)】放射線が物質や私たちの体の組織に与えたエネルギーの量(吸収線量)を表します。1グレイは、1キログラムあたり1ジュール(エネルギーの量を表す単位)※のエネルギー吸収をもたらす放射線量です。
イギリスの物理学者ルイス・ハロルド・グレイの名前が単位に使われています。
※エネルギーを表す単位として広く一般に使われているものにカロリー(cal)がありますが、1ジュールは約0.24カロリーで、普通の大気圧(1気圧)で、20℃の水1グラムを約0.24℃上昇させるエネルギーに相当します。
【シーベルト(Sv、Sievert)】放射線の種類や強さを考慮して、私たちの体が放射線によってどれだけ影響を受けるかを表すのに、シーベルトという単位が用いられます。
放射線防護に貢献したスウェーデンの科学者ロルフ・マキシミリアン・シーベルトの名前が単位に使われています。
本文の一部は原子力総合パンフレット(日本原子力文化財団発行)を出典としています。
Copyright © 2022能登原子力センター All Rights Reserved.