あともすラボ

第5回 放射線の影響について学ぼう!

① 「放射能」は放射線を出す能力のこと

「放射線」は、高いエネルギーをもって高速で飛ぶ粒子のことで、光や電波の仲間です。一方、「放射性物質」は、放射線を出す物質のこと。この「放射性物質」が放射線を出す能力のことを「放射能」と言います。

「放射能」は放射線を出す能力のこと

② 放射線には自然のものと人工のものがある

「放射線」は自然の中に、普通にあるものです。例えば宇宙から届く光や、大地にある岩石、食べ物や空気にも含まれていて、みんな日常的に放射線を受けています。これを「自然放射線」と言います。
これに対して、病院のレントゲンや原子力発電所など、人間が人工的に作った機械から発生させた放射線は「人工放射線」と言います。

放射線には自然のものと人工のものがある 放射線には自然のものと人工のものがある 放射線には自然のものと人工のものがある

放射線が人体に与える影響を表す単位のことを「シーベルト」といいます。
日本では一人当たり、1年間に約2.1ミリシーベルトの放射線を受けています。
放射線を受ける量は、その地域の地質や高度によって違い、例えば標高2000メートルの山の上や、航空機の中では、宇宙から受ける放射線量が多くなります。

放射線には自然のものと人工のものがある

③ 放射線による人体への影響

人が放射線を受けることを「被ばく」と言います。
「被ばく」には、体の外から放射線を受ける「外部被ばく」と、放射性物質が入った空気や食べ物を摂取して、体内で放射線を受ける「内部被ばく」があります。

放射線による人体への影響01

放射線は普段の生活で受ける量なら心配ありませんが、一度にたくさんの量を受けると健康への影響が出る可能性があります。多くの放射線を被ばくするとがんになるなど、健康への影響が出るリスクが高くなることが知られています。
放射線を受ける量を少なくするには、放射性物質に近づかない、放射線を受ける時間を短くする、そして放射線を遮ることです。

放射線による人体への影響02

正しい知識をもっていれば、別に怖がる必要はありませんが、万が一、家の近くで放射性物質が空中に飛んでしまうような事故が起こったら、しっかりと身を守ることが大事です。

④ 放射線の健康影響についての研究

がんや白血病の原因が、放射線の影響であるかどうかは、個人の検査では識別できません。それは、喫煙や食生活など、がんにはさまざまな要因があり、それらが長年にわたり作用することで起こると考えられているためです。そのため、疫学調査によって、被ばくした人のグループと被ばくしていない人のグループの発がん率を比較し、これをもとに影響の有無を判断することになります。
多くの人々のグループについて調査をすることによって、低線量の放射線が健康に与える影響を明らかにしようとする研究が進められています。

【放射線と生活習慣によるがんのリスク】
国立がん研究センターの研究によると、継続した喫煙は、1,000~2,000ミリシーベルト、運動不足は、200~500ミリシーベルト、野菜不足は、100~200ミリシーベルトの被ばくのリスクと同等とされています。

放射線の健康影響についての研究

⑤ 放射能の減衰

放射能は、時間がたつにつれて次第に弱まる性質があり、これを「減衰(げんすい)」といいます。放射能が半分に減るまでにかかる時間を「半減期(はんげんき)」といいます。半減期は放射性物質の種類によって異なり、短いものから100億年を超える長いものまであります

放射能の減衰
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本文の一部は原子力総合パンフレット(日本原子力文化財団発行)を出典としています。
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